旧Yoshikawaの出張所のアーカイブ

はてなグループ「ニコニコ部」にあったYoshikawaの出張所のアーカイブです。はてなグループのサービス終了時にエクスポートすることを忘れていたために、2020年4月にインターネットアーカイブからサルベージしたデータです。

作者達が今本当に求めているのはお金ではなく安心(2008-03-03にはてなグループに投稿した内容のアーカイブ)

 | 00:26 | 作者達が今本当に求めているのはお金ではなく安心 - Yoshikawaの出張所 を含むブックマーク はてなブックマーク - 作者達が今本当に求めているのはお金ではなく安心 - Yoshikawaの出張所  作者達が今本当に求めているのはお金ではなく安心 - Yoshikawaの出張所 のブックマークコメント

 ひと月ほど更新していなかったので、ほったらかしにしているのではないということを示す意味でも、最近思ったことを書き出してみました。

 ニコニコポイントの議論が盛んですね。作者に何かを還元したいという気持ちからの話だと言うことは判っているし、基本的な趣旨にはおおむね同意しますが、以前から言われてきた謙儲のはなしもあっていろいろと議論を巻き起こしてはいるようですね。私もこれだけニコ動への参加者が増え作品の投稿スピードがあがり、そして今日NHKのあっとヒューマンでも取り上げられたほどに世間での認知が進んだ今となっては、作者への還元や良い作品への評価が現状のリスペクトだとか評判だけというのは確かに物足りないというか片手落ちであるということを感じてはいます。

 でもそもそも趣味だからこそ、アマチュアだからこそニコニコ動画の場に参加して楽しんでいるという趣旨の人もいると思います。彼らにとってはポイント制導入は弊害や抵抗感が多くなるだけのような気がします。また一部のコンテンツホルダー(一次権利保有者)では、金銭面での動きが小さいからということがお目こぼしの理由になっている感もあるので、そこへの影響も読みきれません。

 私個人的には、以前にもどこかに書いたかもしれないですがニコ動で直接儲けられなくても例えばそこからデビューしたとか、ニコ動のヒットで既存の関連商品や他の作品が売れたとか、ポイント制以外のいろんな還元手法として複数ラインが並行して育って実現する流れを希望しています。当然その中には、創作したコンテンツでは一切儲けないというまさに日本人に多い清貧の思想をもつ人達にもきちんと光があたる手法(例えばそういう作品は元の商品のバージョンアップの時にコンテンツホルダーが公認して同梱してしまうなど*1)も残さないとニコ動の輝きは直ぐに失われてしまうでしょう。金銭面での手法だけが充実すると、多分今微妙なバランスで揺れながら保たれている場が大きく崩れるように思います。

 これは運営側のドワンゴニワンゴの収益面での施策とも密接に絡むと思いますが、今の場が持つ良い意味での多面性やネタ(作品)中心主義による価値観の違いの吸収力を損なわないようなマネタイズの手法をできれば複数、それこそ皆で探し出せすことを願っています。

 そんなことを考えていてふと思ったのが、

 今のニコ動にいる作者達が欲しいのは本当にお金なのだろうか?

 ということ。多分違うんではないですかね。彼らが今一番欲しいのお金ではなく安心なのだと思うのです。ニコ動に上がる作品の多くはMADといわれる他者の権利物を利用しての作品です。MADに限らず歌ってみたや踊ってみただって現時点ではグレーゾーン(というか親告されたら多分アウト)だといわれており、作者達はいつ申告されるかわからないというリスクを抱えていることになります。したがって彼らの大半は匿名で参加しています。そして匿名である限り、前述したようなここからのデビューといった形での還元の可能性はほとんどゼロになってしまっています。

 金銭面で還元する前に彼らに安心を与えてあげたほうが、この場はもっと発展すると思っています。

 と、一言で書きましたがこれは結構難しいことですね。一旦2次利用を許すと際限がなくなる可能性がありますし、それこそそこにつけこんで儲けようという悪徳商法のようなものの餌食になってしまうかもしれません。多くのコンテンツホルダーが株式会社組織であることを考えると株主への説明責任もあってなかなか踏み込めないというのが正直なところなのでしょう。

 これをブレイクスルーするためには、今のところあらかじめネットでの2次創作を想定した形でのコンテンツを用意するしかなさそうです。例えばVOCALOIDシリーズは、たまたまですがそういう形態のコンテンツとなっています。しばらくすればこういうのを参考にした次の素材がどこかから提供されると思います。一刻も早く出てくることを願います。*2

 

 と後はもしかすると全く逆の流れから突破口が開かれるかもしれません。どこかのコンテンツホルダー守旧派代表の頭の固いキー局あたりが急に取締りを厳しくして作品の一斉削除や親告罪での告発を多用して、その結果ファンから愛想をつかされて業績が急下降するようなことが起きれば、一挙に流れが逆のほうに傾くかもしれません。

 

 うーん短いスパンで見ると実は最期のシナリオが一番可能性が高かったりするかも。いっちょ、やらかしてくれないかなぁT○S*3さんとか(笑)

*1:ちなみにバンナムPの作品って、実はこういう将来考えうる手法や施策を検討したり試すために始めたと見るととても面白いかも、です。

*2:しかしこれずっと待っているのに、なかなかでませんねぇ。

*3:正直に告白すると私は非常に根に持つタイプなのであの放送は忘れていません。最近ミクが有名になってきてTVに出るようになりましたが、今後も「某局にだけは出演させん!」とかそういう意趣返しを実は期待している意地悪な人です

matarimatari2008/03/04 10:08久し振りに訪れたら更新お疲れ様です
ニコニコ動画の場合「同様の趣味を持った同士でワイワイやりたい」
という意図で制作者が集まっているように感じております

EXAEXA2008/03/26 09:06念カキコ成功といいたくなるぐらい激しく同意な記事であります。
「作者が本当に欲しいのは安心」というのはあると思います。
ひろゆきがニコニコの顔になることで「ひろゆきに護ってもらえる」感というか
そういう安心感が当初からあったんではないでしょうか。

> あらかじめネットでの2次創作を想定した形でのコンテンツ

ニコニコが動きました。これ大成功するといいですね。

ニコ動で「MAD推奨」の新作アニメ配信 「アニメチャンネル」オープン
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/18/news008.html

ultraluckystarultraluckystar2008/05/19 21:17素材が提供されているのに最多再生数が3桁という悲しい事例も・・・
http://www.nicovideo.jp/search/wrapmixer?sort=v

人が機械の為に創ったものをまた人が消化して・・・の舞台裏で(2008-02-02にはてなグループに投稿した内容のアーカイブ)

 | 16:15 | 人が機械の為に創ったものをまた人が消化して・・・の舞台裏で - Yoshikawaの出張所 を含むブックマーク はてなブックマーク - 人が機械の為に創ったものをまた人が消化して・・・の舞台裏で - Yoshikawaの出張所  人が機械の為に創ったものをまた人が消化して・・・の舞台裏で - Yoshikawaの出張所 のブックマークコメント

 久々に本家ニコニコ動画アイマス関係を書いたのですっきりした今日この頃ですが、原稿の下書き段階でメモっていたけど結局本編に書ききれなかったことをここにメモとして残しておきたいと思います。

 

 最近の「踊ってみた」系のムーブメントで再認識したのは、アイマスの新しい使い方として「振り付けツール」というのが定着するのかという事です。初音ミクDTMに欠けていた「歌う」という部分を補完するパーツだったように、アイマスもPV系動画での「振り付け」を補完する役割を担う可能性があるのかなんてことを思ってしまいました。

 前に本家でちょっと書きましたが群衆の叡智の最も良い使い方のひとつは無限に近いパターンをしらみつぶしにあたっていくような試行錯誤型の検証だと言われています。ところがこの無限のパターンの中に今回の「振り付けツール」だとからぶデス2に見られるような「3D美少女*1キャラデザインツール」のような、明らかに最初の制作者の斜め上をいくパターンが発見&編み出されるのは、凄いことだと思いますし世の中の発展の為にもなっていると思うのです。これが多分私の最近のワクワク感が止まらないところに繋がっているのだと思います。

 さてそれでは今後この分野の市場はどうなるのでしょうか。直にさらに「振り付け」に特化したモーションキャプチャー系のソフトが出てくるのかもしれません。確か初音ミクの場合は、そのヒットに気をよくした類似製品がでたと思うのですが、アイドルマスターの場合、これまであまり競合というかパクリ製品がでていないような気がします。

 今後「自分でデザイン&教育したアイドルをネット上の動画共有サイトで披露してそれを競う」というコンセプトのツールやそうしたコンセプトのネットゲームがでるのかなども、見ときたいと思っています。

 

 それと最後に「踊ってみた」作品が現れたと言うことは、MAD作品が単なる思いこみのつぎはぎの絵空事ではなく実演できたということで、これは偶然かも知れませんがこれらのMADの作者の方々の振り付け力というかダンスデザインの力の凄さに感服しました。

(吉川 日出行)

 

*1:男をデザインした人もいるようですが

白2008/02/27 18:30ミクを躍らせるツールが公開されましたね。
アイマスを意識してる様にも見えますし、境界が消えつつあるのかしれません。

YoshikawaYoshikawa2008/03/03 00:50MikumikuDanceすごいですよね。驚いています。
私も『次は「踊る」のパーツ化だろう』という予想が半分あたったので喜んでいますw

タグの発展6段階説(2008-01-06にはてなグループに投稿した内容のアーカイブ)

 | 09:57 | タグの発展6段階説 - Yoshikawaの出張所 を含むブックマーク はてなブックマーク - タグの発展6段階説 - Yoshikawaの出張所  タグの発展6段階説 - Yoshikawaの出張所 のブックマークコメント

id:kynbit氏のついったーでの発言にあったタグの成長4段階説「誕生期」「成長期」「円熟期」「衰退期」を私が勝手に拡張して6段階説にしてみました。

以下、各段階の命名と定義など。

  • 「誕生&潜伏期」あるネタの動画が投稿されるがマイナーであったりネタとしての魅力が乏しいため誰も注目しない
  • 「発見期」 「すごい動画」の投稿によりそのネタが皆に発見され知れ渡る。最初の面白い「混ぜ」「Remix」作品が出てアクセスを集める。
  • 「成長期」 ニコ動定番の混ぜが行われる時期。ニコ動定番の混ぜとは「倒せない」「盗んで行きました」「キワミ」「ミク化」「歌ってみた」「描いてみた」など。最初のまとめ記事が出るのはこの頃。
  • 「爆発期」 そのネタ独自のアレンジ、いままでにない全く新しい「混ぜ」などが行われて再爆発をする時期。場合によってはここから次のあたらしいネタが誕生することもある。アクセス乞食的に全然関係ない作品にそのネタのタグが貼られてしまう時期。*1
  • 「安定期」 歴史などが語られWikipediaに解説が充実していくのもこの頃。このころになるとだいたいのパターンが踏み尽くされてしまっているので、新しい作品が投稿されてもたいていが○番煎じという印象になってしまう。
  • 「衰退期」 飽きられてそのネタの作品が作られなくなり、徐々に衰退していく時期。

で、例えばチーターマンの作品数遷移グラフ(10万再生以上の作品はグラフ内にプロット)で当てはめてみると

f:id:Yoshikawa:20080106025605j:image

 最初の「[クソゲーチーターマン 2 プレイ動画」(2007/6/13)が登録されて「伝説のクソゲー チーターマン2」(2007/10/16)で取り上げられるまでが「誕生&潜伏期」で、その後「伝説のクソゲー チーターマン2」(2007/10/24)が登場するまでが「発見期」でしょうか。

 そして最初の立ち上がりの2007/10/25の投稿作品数が約40作品なので、投稿数ピーク126(2007/10/27)を過ぎて42作品まで落ち着いた2007/10/31までを「成長期」として、「チーターマン的MIDI」(2007/10/31)を生んでもう一度投稿数が上がった2007/11/4までが「爆発期」というイメージ。

 後は 「安定期」に入ってチーターガールへ集大成された2007/11/10ころから「衰退期」って今という感じでしょうか?

f:id:Yoshikawa:20080106025604j:image

 若干「爆発期」周辺の定義や切り分けが甘いような感じがしています。実際には他のいくつかのパターンを見てほんとうにこういうパターンになるのかをきちんとみないとだめでしょうし、どんどん突っ込んで貰ってかまいません。どなたか修正して貰って修正6段階説とかにして貰ってかまいません(笑)


 ちなみに、今話題?の「呪いの館」タグをグラフにするとこんな感じです。

f:id:Yoshikawa:20080106025603j:image

 この場合「潜伏期」がなく「発見期」は1日だけで、いまイキナリ「成長期」ということになると思います。

 今日1/6の新規作品数が100個を越えると初期の立ち上がりがチーターマンと同じヒットになります。

*1:アクセス稼ぎ目的のイタズラタグは「爆発期」ではなく「成長期」の特徴かも知れないと一晩寝たら考え直したので一応注記

MADや2次創作が存在感を増し認められている流れについて(2007-12-15にはてなグループに投稿した内容のアーカイブ)

 | 09:38 | MADや2次創作が存在感を増し認められている流れについて - Yoshikawaの出張所 を含むブックマーク はてなブックマーク - MADや2次創作が存在感を増し認められている流れについて - Yoshikawaの出張所  MADや2次創作が存在感を増し認められている流れについて - Yoshikawaの出張所 のブックマークコメント

#ちょっと思ったことがあるのでメモとして書いておく。

電波系の曲で有名なMosaic.Wavから曲のMAD使用に対する公式見解がでたそうです。

動画投稿サイトでのMOSAIC.WAVの楽曲使用について、事務所の見解を発表させて頂きます。

1.基本的に"オリジナル音源"の使用はショートサイズのみ許可させて頂きます。

2.フルバージョンに関しましては、カラオケも含め、"オリジナル音源"の使用は禁止させて頂きます事をご了承下さい。

3.なお、上記使用条件は当社が全ての権利を持っているオリジナル曲のみとなります。

4.メーカー様やレコード会社様等が関わっております楽曲は、ショートサイズも保証できません事をご了承下さい。

大変ご迷惑をお掛け致しますが、ご理解の方頂ければ幸いです。

よろしくお願い致します

以上動画投稿サイトについてから引用

 楽曲や画像の権利関係のついては難しいことがいろいろあるとは思いますが、こうしてちょっとずつでも「何が良くて何がダメか」ということを文章にして言語化していく事が今できるベストの行為だと思っています。

 それは道の無いところに道を造る行為だし、あとから抜け道などが判って後戻りしたりすることも多いことだと思う。しかしそれでも、文章にして線を引いていかないことには、いつまでたってもグレーがグレーのままで皆が勝手に思い思いの事を言うだけで前に進めないのではないでしょうか。ダメだらダメでなぜダメなのか理由を言ったほうが良いはずで、理由が判れば退避法は考えられるし、時間が進んで理由が理由で無くなったときに再検討することもできるから。

 先駆者達が出来る範囲で出来るところから、言葉を発し始めてくれる事を願っています。

 

全萌連は高槻やよいをCMキャラクターに起用すべきだ!(2007-11-23にはてなグループに投稿した内容のアーカイブ)

 | 16:16 | 全萌連は高槻やよいをCMキャラクターに起用すべきだ! - Yoshikawaの出張所 を含むブックマーク はてなブックマーク - 全萌連は高槻やよいをCMキャラクターに起用すべきだ! - Yoshikawaの出張所  全萌連は高槻やよいをCMキャラクターに起用すべきだ! - Yoshikawaの出張所 のブックマークコメント

 全萌連とは「もやし普及委員会」というホームページを運営している、日本で唯一のもやし生産者団体である「全日本豆萌工業組合連合会」の略称である。「もやし普及委員会」は2000年に発足し、もやしの消費拡大とメニュー提案に日々取り組んでいるそうだ。

 この団体に是非アイドルマスター高槻やよいをCMキャラクターにした「もやし普及PV」を作成して貰えないものか*1。そしてそのPVは当然ニコニコ動画にいる職人達が競作をし、その中で最も優れたものを採用するというコンテスト形式(祭り形式ともいう)で是非。

 今ならアイマスとニコ動のエネルギーと話題性で相当に質の高いPVとそれによる広告効果が見込めるだろう。そして出来上がった作品がスーパーのもやし売り場で放映されたりしたらとても楽しい。

 ナムコ側も新作CDやDLC一辺倒ではなく、アイマスのキャラクターをタレントのようにCMキャラクターとして売り込んで(いくばくかの)出演料などが得られれば、新しい収益源としてはかなり魅力的ではないか。

 

 実はつい先日、ついったーで局地的に盛り上がった話題が花見川さんによって「ついったーもやしエントリまとめ - 花見川の日記」にまとめられたのだが、その後日談としてもやしの相場などを話していた時に、ひょんなことからこの「もやし普及委員会」のページを知ってしまった。無知な私はそこで初めてもやしのことを「豆萌」と呼ぶことを知ったのだ。もやしの漢字表記が「萌やし」だということも。

 

 しかしこの「もやし普及委員会」なかなかに精力的である。キャラクターの「もやしのモッピー」だけでなく「もやし料理のレシピ」や「もやし料理の旨い繁盛店」などをホームページに掲載し、今年の4月には、なんと「世界もやし・スプラウト大会」(スラッシュドットの関連記事)まで開催している!*2

 思わず東京都江戸川区にあるという「もやし普及委員会」の事務局に「もやし祭りのタグ検索結果」のリンクを送ってみたくなった、そんな連休の一日だった。

===2007/11/24 AM 追記

 あまりにも内容が無いエントリーに反省して「もやし祭り」関連作品の紹介を書き足すことにした。

 

(たぶん)最初の「もやし祭り」ネタ作品。盗んでいきましたシリーズのもやし版である。

 

笑撃の「もやし祭り」実践シリーズの始祖。スーツケースいっぱいのもやしを皆で食べきる様は雄壮だった。「愛すべき馬鹿シリーズ」

 

 

2300円分のもやしを使っていろいろな料理に挑戦。

 

11月11日はもやしの日だったそうな。『☆カステラ1番!電話は2番!三時のおやつは、もやしですぅ』という解説が印象的な作品。

 

アイマスのキャラ別にオリジナルハンバーガーをデザインする模様を描いた作品。そしてやよい用バーガーは当然もやし。カロリー122calで食材費は57円ですんでいるが、寸評は「このバーガーは味もバランスも失敗だと思います。」と散々。

*1:実はもやし普及委員会には既にもやしのモッピーというイメージキャラがいるので、ここではイメージキャラではなくCMキャラと書いた

*2:この事から推測してもそれなりに予算は持っていそうだ

2次創作OKのコンテンツ提供開始に思う(2007-11-11にはてなグループに投稿した内容のアーカイブ)

 | 23:39 | 2次創作OKのコンテンツ提供開始に思う - Yoshikawaの出張所 を含むブックマーク はてなブックマーク - 2次創作OKのコンテンツ提供開始に思う - Yoshikawaの出張所  2次創作OKのコンテンツ提供開始に思う - Yoshikawaの出張所 のブックマークコメント

 花見川さんの「2007-11-10 - 花見川@ニコニコ部 - ニコニコ部」を読みました。気持ちの入った良いエントリーですね。私も個人的にはアイマスMADは初音ミクよりも前から多数の注目を浴びていたし出来上がった作品にも素晴らしいものが多く、初音ミクよりもっと盛り上がっても良いのにと思うことは少なくありません。ただ、アイマスMADは確かにアイマスをプレイしたことの無い人に理解して貰うのは難しい面もありますね。

 だから初音ミクに負けてしまった理由を考えつつ対策を練っていくとは有意義だと思います。

 さてこれと前後してEXAさんの日記経由でITmediaの「ニコ動、2次創作OKで新作映画を公開 - ITmedia News」というニュースを知って読みました。MAD製作OKのコンテンツがニコニコ動画内での素材利用のルールであるニコニコモンズと共にニコニコ動画に公開されるというニュースです。一応このニュースに対する反応をざっと調べましたが、今のところ一部が懐疑的、残りのほとんどの人もあまり期待していないという感じですね。

 が、しかしこの2つの記事を読んでいて思ったのですが、MAD製作OKのコンテンツ提供こそバンダイナムコゲームスに最初にやって欲しかった事だと思いました。花見川さんのところのコメントにも書いたのですが、アイマスMADは未だにグレーゾーンの領域が多く、参加者はそのグレーゾーンの中でいろいろとやっています。まあこのグレーゾーン内に一緒にいるということがかえって同胞意識を生むようで、例えばそれがアイマス関連のPの結束を生んでいるような効果もあってそれが全て悪いとも言いませんが・・でもアイマスMADはグレーソーンだからやはりメディアなどでは扱い辛いんです。だから初音ミクほど認知が広がらない。

 

 アイマスの場合声優さんを初め権利者が複数いるし、そもそものゲーム製作時にはこういった展開を想定していなかったでしょうから契約関係も見直したりしないといけないのだと思います。でもそれでも知恵を絞ってなにかやって欲しかった。例えばL4UなんてMAD製作を意識した新商品だと私には思えるのですが、そのCMに良作MADを使ったりできなかったのでしょうか?

 一度でもお墨付きを与えてしまうと前例となって後からコントロールできなくなるとかそういうのもあるのかもしれません。であってもコンテスト方式にして応募作品の著作権行使は主催者に委譲させるとか、なにか工夫はあったのではないでしょうか。

 実は私のアイマスMADの権利関係に関する意識って敷居さんにかなり近いんですよね。9/25の敷居の先の住民の アイマスMADはこれから大きく動く - 敷居の先住民なんてほぼ私の思っていることをそのまま書いてくれているに等しいです。

 こういうのってタイミングが重要で、今のようなターニングポイントに権利保有者側も前に前進しようとしてくれなければ、これらは一過性のブームに終わるのではないでしょうか?。アイマスはゲームコンテンツとして今までにない新しい領域を切り開いた先駆者なのだから、その切り開いた分野の今後についてもきちんと向き合って何かをやって欲しい。そう思うのは我々のエゴなんでしょうか?

 アイマスを愛してMADを作成する作者に「俺たちの作品は宣伝になっているのだから法を犯しても良いのだ」なんて言わせてはいけないと思うんです。彼らはお客でありそして最も商品を愛している人たちなんですから。この先ニコニコ動画上のコラボレーションが進んだとして「これこそが新しい創作手法とその結果だ」なんて偉そうに言わせてはいけないと思うんです。それはオリジナルの「アイマス」があったからこそ出来上がった仕組みだしそれを礎に築かれたものなのですから。

 MAD製作によってたまたまそのゲームが売れたとかDLCで儲かったとかそういうのでなく(いやもちろん営利企業のやることなので儲けられるときに儲けておくのは鉄則ですが)先駆者としてのリードしていく姿勢を見せないと、じきにリスペクトされなくなって次の世代には相手にされなくなるのではないかと心配するのは、私の余計なお世話でしょうか。そういえば私が大学生の頃にギャルゲーとして先駆的なコンセプトを打ち出した「ときメモ」のプロデューサーに「メタル○ーキ」という方がいらっしゃいました。しかし残念ながら経済面だけを優先し時代に合わせたイノベーションを考えられなかった為につい先日あえなく卒業式を迎えられたとのことです。

 

 いやこうして言葉で書くのは簡単ですが実行は難しいのはわかります。特に日本型のリスクを嫌う階層型組織にいると。私も日本の企業に勤めているのでよく判ります。

 私はニコニコ動画アイマスMADそして初音ミクを見たときに「日本始まったな」と思った(今でもそう思っている)のですが、実はよくよく見てみると、例えば今回のバンダイナムコゲームスの件や初音ミクYAMAHAからではなくクリプトンというベンチャーから出ていることなどに気づき、もしや「日本終わったかも」とも思ってしまうんですよねぇ。

 箱○アイマス関係のCDも買っていない私がバンダイナムコゲームスに文句を言える立場には無いのかも知れません。でもAC版にはそれなりに投資をしたし・・・これくらいは書かせてください。

ニコニコ動画はピラミッドの裾野にまで優しい希有な「場」(2007-11-04にはてなグループに投稿した内容のアーカイブ)

 | 23:42 | ニコニコ動画はピラミッドの裾野にまで優しい希有な「場」 - Yoshikawaの出張所 を含むブックマーク はてなブックマーク - ニコニコ動画はピラミッドの裾野にまで優しい希有な「場」 - Yoshikawaの出張所  ニコニコ動画はピラミッドの裾野にまで優しい希有な「場」 - Yoshikawaの出張所 のブックマークコメント

 yuukirinさんの「初音ミクはどこへ向かうのか | Fluorescent lamps」という記事を読んで、ちょっと思ったことなどを。

 yuukirinさんはここで、最近の初音ミク作品が余りにもレベルが高くなりすぎて、初心者さんが「作ってみた」では太刀打ちできなくなってしまい、作品投稿の敷居が高くなって、最終的に「このままではミク作品は先細る気がしてなりません」と心配されています。

 どうなんでしょうか。ある程度あたるような気もするし外れるような気もしています。

 初音ミクに先行してニコニコ動画でブームになった「アイマスMAD」なんて既にかなり高レベルの作品ばかりに成っていますがそれでも未だに参入する新しい職人さんがいますし、よくよく見ていくとそのなかにはかなりレベルの低い作品もかなりあります。一部では「アイマス系」は内輪受けになってしまったと嘆かれていますが、私は未だそうは思っていません。

 だから初音ミクもあまり心配しなくても今後も投稿は続くような気がしています。またVOCALOID2としてみれば12月には新作が出るわけで、この新作が出たてのころは、また単に「歌わせてみた」だけでも新しい扱いになるので一端敷居が下がることも予想されます。

 

 実は最近ニコニコ動画を創作の「場」として捉えて、なぜあんなにも活発に独創的な作品が次から次へと生み出されるのかを観察・研究し仲間と議論をしています。この議論の一端を近々本家にまとめて書いてあげてみたいと思っているのですが、その中のひとつにニコニコ動画の観衆の優しさとか暖かさがあると思っています。ニコニコ動画では、例えレベルの低い作品でも作者に向けて暖かい言葉やアドバイスが投げられることが多く、これが作者のモチベーション維持に大きく寄与しています。先ほどのアイマスMADや最近の初音ミクの中に散見される、イマイチな作品でも必ずといって良いほど「次に期待!」「ガンガレ」というようなコメントがつくのです。この風土がある限り、ピラミッドの底辺に参加しようという若者は減らないし今後もそういう若者を集める事が出来るように私は考えています。

 もうひとつ、yuukirinさんは初音ミクだけでピラミッドを考えているようですが、ニコニコ動画全体でピラミッドを考えると違う視点も見える気がします。もし、初音ミクはプロのようなレベルの人だけが扱える上級者向けの題材と言うことになっても、その際には他の人は別の題材をネタにして作品を作るでしょう。だから全体としての裾野は多分狭くならないし、その際の初音ミクは他の作品を作る際に技術的・アイデア的に参考にされるリファレンスというポジションになると思われますので、やはりそう衰退はしないように思っています。

 つい先日イキナリのブームになったチーターマンなんかをみていても、過去のアイマスMADもイキナリや初音ミクのアイデアがふんだんに使われ、そして逆にチーターマンからの逆輸入もありますね。そしてこうした新しいブームによってニコニコ全体に新陳代謝が起こり一皮むけた印象も受けます。

 私も以前初音ミクに可能性がないとすぐに飽きられるのではという趣旨のエントリーも書いたのですが、どうやらニコニコ動画という場の大きさと今の風土があれば、初音ミクという題材はもうしばらく続きそうですし、それが残したモノは相当先まで影響を与えて残ると思います。