旧Yoshikawaの出張所のアーカイブ

はてなグループ「ニコニコ部」にあったYoshikawaの出張所のアーカイブです。はてなグループのサービス終了時にエクスポートすることを忘れていたために、2020年4月にインターネットアーカイブからサルベージしたデータです。

ニコニコ動画はピラミッドの裾野にまで優しい希有な「場」(2007-11-04にはてなグループに投稿した内容のアーカイブ)

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 yuukirinさんの「初音ミクはどこへ向かうのか | Fluorescent lamps」という記事を読んで、ちょっと思ったことなどを。

 yuukirinさんはここで、最近の初音ミク作品が余りにもレベルが高くなりすぎて、初心者さんが「作ってみた」では太刀打ちできなくなってしまい、作品投稿の敷居が高くなって、最終的に「このままではミク作品は先細る気がしてなりません」と心配されています。

 どうなんでしょうか。ある程度あたるような気もするし外れるような気もしています。

 初音ミクに先行してニコニコ動画でブームになった「アイマスMAD」なんて既にかなり高レベルの作品ばかりに成っていますがそれでも未だに参入する新しい職人さんがいますし、よくよく見ていくとそのなかにはかなりレベルの低い作品もかなりあります。一部では「アイマス系」は内輪受けになってしまったと嘆かれていますが、私は未だそうは思っていません。

 だから初音ミクもあまり心配しなくても今後も投稿は続くような気がしています。またVOCALOID2としてみれば12月には新作が出るわけで、この新作が出たてのころは、また単に「歌わせてみた」だけでも新しい扱いになるので一端敷居が下がることも予想されます。

 

 実は最近ニコニコ動画を創作の「場」として捉えて、なぜあんなにも活発に独創的な作品が次から次へと生み出されるのかを観察・研究し仲間と議論をしています。この議論の一端を近々本家にまとめて書いてあげてみたいと思っているのですが、その中のひとつにニコニコ動画の観衆の優しさとか暖かさがあると思っています。ニコニコ動画では、例えレベルの低い作品でも作者に向けて暖かい言葉やアドバイスが投げられることが多く、これが作者のモチベーション維持に大きく寄与しています。先ほどのアイマスMADや最近の初音ミクの中に散見される、イマイチな作品でも必ずといって良いほど「次に期待!」「ガンガレ」というようなコメントがつくのです。この風土がある限り、ピラミッドの底辺に参加しようという若者は減らないし今後もそういう若者を集める事が出来るように私は考えています。

 もうひとつ、yuukirinさんは初音ミクだけでピラミッドを考えているようですが、ニコニコ動画全体でピラミッドを考えると違う視点も見える気がします。もし、初音ミクはプロのようなレベルの人だけが扱える上級者向けの題材と言うことになっても、その際には他の人は別の題材をネタにして作品を作るでしょう。だから全体としての裾野は多分狭くならないし、その際の初音ミクは他の作品を作る際に技術的・アイデア的に参考にされるリファレンスというポジションになると思われますので、やはりそう衰退はしないように思っています。

 つい先日イキナリのブームになったチーターマンなんかをみていても、過去のアイマスMADもイキナリや初音ミクのアイデアがふんだんに使われ、そして逆にチーターマンからの逆輸入もありますね。そしてこうした新しいブームによってニコニコ全体に新陳代謝が起こり一皮むけた印象も受けます。

 私も以前初音ミクに可能性がないとすぐに飽きられるのではという趣旨のエントリーも書いたのですが、どうやらニコニコ動画という場の大きさと今の風土があれば、初音ミクという題材はもうしばらく続きそうですし、それが残したモノは相当先まで影響を与えて残ると思います。