旧Yoshikawaの出張所のアーカイブ

はてなグループ「ニコニコ部」にあったYoshikawaの出張所のアーカイブです。はてなグループのサービス終了時にエクスポートすることを忘れていたために、2020年4月にインターネットアーカイブからサルベージしたデータです。

ニコニコ音楽への期待とドワンゴが権利管理団体になる可能性について(2007-10-20にはてなグループに投稿した内容のアーカイブ)

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ニコニコ音楽について

 あまり報道されていませんが先日のRC2発表会ではニコニコ音楽というのが資料の中に記載されていました。質疑応答の中でもこれについては、突っ込まれましたがこれについては当日はノーコメントという回答しかもらえなかったので、多分ドワンゴ/ニワンゴの中では相当に企画が進んでいるものだと思います。

 このニコニコ音楽ですが、予想できる内容としては、

  1. ドワンゴ/ニワンゴがとりまとめ役になってCDを出す
  2. ドワンゴ得意の音楽のダウンロード販売

あたりだと思います。実のところ先日からニコニコ市場で携帯用音楽の提供が始まったみたいですし、これなんてなんか私にはニコニコ音楽の伏線のようにも見えたりします。

 さて、別なところでニコ動で行われている創作活動について書きました。でやはりその記事の中では微妙な問題の知的所有権関連には触れない形で書くしかなかったわけなんですが、今、世の中ではネットにおける既存コンテンツの知的所有権やその使用料等をどうするかというのが問題になっていていろいろと話が盛り上がるっているようです。これはこれで重要な問題としてどこかで良い解決案が出て皆が幸せになれるような落としどころが見つかることを思っています。実際私もコンサルタントという職業上では文章などのコンテンツで商売をしているわけで、ささやかながら当事者のひとりであると思っていますので。

無名の才能に対してリスペクト以外で報えないものだろうか

 この権利者問題なんですが既存の権利者の話以外に、もうひとつ今のニコ動で無名の才能(素人)が新たに生み出しているコンテンツの権利やその作者への利益還元という議論もあって良いと思っています。ところが今のところこういう話が議論される事はあまり無いようで、個人的にはちょっとがっかりしています。無名の才能が、既存の権利管理の仕組みを使うのは難しいと思っていますので、今のままでは無名の才能が名誉以外のリターンを得るのはかなり大変*1だと想像しています。

 で、もしこういうことが実現すると作者にどれくらいの収入があるか計算してみようと思い、参考までにJASRACのページを見てみたところ、楽曲を動画などの音楽以外を主とした利用でダウンロード配信する場合1曲1回4.4円の使用料となるようです。このうち中間マージンを除いて作者にはいるのがどのくらいの割合なのかはよく判りませんが、まあ50%の2.2円としましょう。これをベースに今話題の初音ミク関係のオリジナル曲で計算していると、例えば「みっくみく♪」が113万回再生なので約250万円、「恋スルVOC@LOID」で28万回再生なので約60万円、「あなたの歌姫」で25万回再生で約55万円という金額が出てきます。もっとも今のニコ動では再生時に課金されませんのでこの再生回数をベースにした金額はあまりあてにはなりませんが。

 でも実際にネット上で生み出された良い作品やあるいはそういう良いを生み出そうとしているインフラにお金を払っても良いという人は、現時点でも案外多いのではないでしょうか?今の初音ミクで散見されるようなレベルの高い楽曲ならMP3のダウンロードになら百円くらいは払っても良いという書き込みなんて時々見かけます。またニコ動のプレミアム会費は「お布施の気持ち」で加入しているなんて記述もありますね。このあたりはコミュニティというかなんかあったかい相互扶助的なものも感じます。古い世代の私は、昔にインプレスがネット媒体としてメルマガのInternetWatchを月間500円くらいで有料化したときも、情報料としてではなく新しい試みを応援するためにお金を払いますっていう意見が結構あったのを思い出しました。

 今度出来るニコニコ音楽でドワンゴ/ニワンゴが音楽の配信(または販売)でお金を取ってそれを無名の才能の才能へ一部でも還元できるような仕組みが出来ると良いなー、なんて考えています。

ドワンゴ/ニワンゴが権利管理団体になる?

 別の視点でも見てみます。こうした無名の才能の作った音楽配信ビジネスが成り立つかどうかってことなんですが、これも最後はやってみたいと判らないと思いますがこれって仕組みを一端作ってしまえばあとは、その仕組みの利用回数に比例して中間マージンを得ることのできる「チャリンチャリンビジネス」なんで結構勝ち目はあるんではないでしょうかねぇ?

 ここまで考えて、実はもしかするとこの先に凄い宝が埋まっている可能性に気づきました。ドワンゴ/ニワンゴがこういったことをやると、その延長でドワンゴ/ニワンゴってもしかして著作権管理会社のひとつになるんじゃないかと!

 確かJASRACってその下部にいろいろな権利管理団体を持つような構成ではなかったでしたっけ*2。下部の会社のそれぞれの縄張りというか管理範囲は、これまで音楽だとかソフトウェアだといったコンテンツの種類毎に分かれていたと思いますが、この縄張りに無名の才能作成分、ネット上の共同作業で生み出された分というのが増えても全然おかしくない。

 例の記事で書いたようにニコ動が、今後もしネット上での作品制作のデファクトスタンダードになり、そのプラットフォームに簡単に使える権利料徴収機能(例えば登録時のクレジットカードで決済し権利者にもカード口座でペイバックするなど)がついていたら、どうなります?これってドワンゴ/ニワンゴがネット上で生み出されるコンテンツの権利管理の胴締めになる可能性を示唆していますね。今のネット通販におけるAmazonのポジションを得る可能性があるわけです。これって凄い利益が上がる可能性があるんじゃないかと、こりゃドワンゴの株を今のうちに買っておくべきか!

今後の展開に期待

 RC2発表会では他が出来ないニコ動ならではのことをやりたいと言っていましたが、これってまさにニコ動でないと出来ないことですね。

 今すぐにこれが全部実現するわけでは無いですがドワンゴ/ニワンゴって現実主義的考えで「とりあえずやってみて、結果を見てから判断」て人が多いようですので、ネット上での作品制作のデファクトスタンダードと出来上がった作品の権利料徴収プラットフォームなんてものも、ちょっとやってみようかんてノリで作ってしまうかもしれません。

*1:正直私はJASRACの仕組みをいまいち判っていないのでもし違っていたらすいません

*2:ここも裏取りしていません。嘘だったらすいません